~お客様の喜びを追求する経営!「お客様の喜びは、私たちの喜び」~

昭和45年に産声を上げたムトータクシーは車両数3台からスタート。

業界でも先駆的に手掛けた乗務員教育、人工衛星を利用したGPS無線配車システムの導入、介護タクシーへの参入など、常にお客様の視点にたって事業を展開してきました。久しぶりに役員3人がじっくりと創業時のエピソード、お客様サービスに対する熱い想い、今後のビジョンなどを語りあいました。

トップ対談

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ムトータクシーの歴史

会長

申請書私は、20歳の頃、市川市に来て青果市場で野菜などを運ぶ仕事をしていたが、25歳で独立し、砂利、砂等の建築資材を主とした運搬業を始めました。その後、経営の安定性を考えて、昭和40年に自動車整備工場の認証(現在の株式会社ムトー)を取得しました。 続いて更に安定した収入と給与の支払いができるようにとの思いで、3年くらいかけて近所の方々等に署名をいただいたりして、昭和45年、タクシー事業の新免(※1)を取ることができました。署名は、一冊の本ができるくらいの厚いもので、非常にうれしかったですね。そんなふうに3台で事業をスタートしました。 最初は、車庫待ち(※2)だけで営業していました。当時、タクシー業界では駅の構内権(※3)の既得権益を守ろうという動きが非常に強く、駅へは入れなかったからね。でも駅からの輸送だけでは経営は成り立たないので、わずかな車両をフルに使おうと電話での注文も取っていくことにしたのです。

  • ※1新免: 新規免許。平成14年までタクシー業界では新しく会社をつくるのが非常に難しかった。
  • ※2車庫待ち: 車庫で待機して、お客様からのお電話を待つこと。
  • ※3構内権: 駅の構内(タクシープール)で待機し、営業する権利。

乗務員講習会の実施

社長

乗務員講習会の実施私は昭和53年に入社して55年くらいから経営に携わりました。当時はまじめな乗務員が多くいる中で、職業意識・プロ意識があまり高くない人もいて、「乗務員の態度が悪い」、「行先を言っても返事もない」などのクレームも結構ありました。 会社も儲かるどころか赤字の状態。そこで当時の社長(現会長)に相談すると、「先ずはお客様からのクレームが来なくなるようにしたら良い、そのために乗務員の教育を徹底してやってみたらどうだ」と。つまり意識改革ですね。 それをきっかけに、問題が起こった時の個別指導はもちろんですが、同じ過ちを全員が犯さないための情報の共有化も必要だと思って乗務員講習会をすることにしました。 乗務員講習会は現在と同じ毎月の給料日である25日と翌26日の2日間で実施。全乗務員を2つに分け、主に旅客接遇、事故防止を中心に、苦情や事故の実例を教材に指導しました。最初はこちらがひと言いうと十も二十も反論され、幾度となく議論が白熱した時もありましたね。ところが回数を重ねるごとに、言葉不足や話し方、やり方など「こっちがもう少しこうしておけば良かったかもね」など、前向き、建設的な意見を述べる者も出てきたのです。 なんとか良くしたいと思っていた乗務員の声も聞こえ始めてきたのです。「お客様に喜ばれるサービスを提供することができれば、自分たちも楽しく仕事ができる、そこを目指していこう。そのためには、自分たちの成すべきことをきちんと成し、襟を但し、自らを律しなければならない」。次第にそう思うようになり、3年目くらいにはお客様から感謝やお褒めの言葉を度々いただくようになりました。本人たちのやりがいも生まれてきました。 また、採用基準を変えたことも功を奏し、だんだんと乗務員のサービスが向上。特にバブル期は忙しくなり、駅の仕事で十分賄えるようになりました。しかし、平成8年頃からかげりが見え始め、追い討ちをかけるように、平成14年のタクシー業界の規制緩和が行われました。環境が変化する中で「これからは、選ばれるタクシー会社にならなくてはならない」という考えが徐々に芽生えていきました。

GPS・CTI無線配車システム導入

常務

まさにお客様がタクシーを選ぶ時代になるということで、駅構内を中心とした営業から、お客様サイドからの選択の自由が利く電話注文、無線営業にシフトしていったんだね。選ばれるタクシーになるためにもお電話いただけるお客様を大切にしようということから、平成8年に、GPS・CTI無線配車システム(※1.2)を導入した。この導入は劇的でしたね。 当時の配車は、お客様の家の場所、お迎え先の経路等をお客様に直接聞いて配車していました。よくわからないときは住所も聞いて住宅地図で調べて、お迎えに伺っていました。 ところがお年寄りや女性など言葉で自分の家までをうまく説明できない方が案外多かったのです。CTIにお客様のお名前、住所、電話番号をご登録(このとき自宅までの経路も入力)させていただくと次回からは、すぐに駆けつけることが可能になりました。つまりお客様にとって面倒な道案内が不要になったのです。そのほか、このGPS・CTIの導入により、予約を受け付けること(※3)が可能になり、玄関先まで着けること、タクシー本来のドア・ツー・ドアのサービス(※4)が可能になりました。

  • ※1GPS:Global Positioning System の略。全地球測位システム。人工衛星から発信される電波によって、タクシーの位置と方向をリアルタイムでチェックし、しかも実車か空車かまで見分けられる画期的なシステムです。
  • ※2CTI:Computer Telephony Intergration の略。お客様からお電話いただいた時、着信と同時にパソコンのモニター画面上にお客様の名前、住所等が表示されるシステム。
  • ※3予約受付:当時予約を受けるタクシー会社はなく、今でもほとんどのタクシー会社は受けていない。平成8年のシステム導入から、ムトータクシーでは予約を受けています。一般タクシーの予約は3日前から、介護タクシーについては、1ヶ月前から受け付けています。
  • ※4 ドア・ツー・ドア:タクシーは、玄関先から、玄関先までの輸送サービスですが、市川の街は、昔からの狭く曲がりくねった道が多く、広い道や目標物のところまで出てきていただいて待ち合わせということが多かった。モニター画面上にお客様のご自宅と車両の位置が表示されるため、玄関先へ着けることが可能になりました。 お出かけは晴れた日ばかりではありません。雨の日、暑い日、寒い日などあります。 特にお荷物のある方、お年寄り、お身体のご不自由な方々から喜ばれました。

GPS

オペレータ

社長

これらのシステムの導入により、無線営業の比率は飛躍的に増加していきます。今では、昼間に限っていえば、8割近くが無線営業となっています。また、顧客登録人数も日々更新され56000件余りの方々にご登録をいただいています。一日当たりの受電件数は、600件以上、雨天時などは軽く1000件を超えてしまいます。しかし残念ながらその内配車件数は400件くらいで、毎日200件以上のお客様にご迷惑をお掛けしているのが現状です(なんとか配車率100%に近づけたいと思っていますが・・・)。 お客様にとって、面倒な道案内がいらなくなった、予約が取れるようになった、玄関先までタクシーが着てくれるようになったなど、利便性が飛躍的に向上したということもありますが、やはり何といっても乗務員の質の高い接客サービスが評価されたのだと思います。 ドアサービスや傘サービス、自己紹介サービスなど、この当時から行っています。お客様の立場にたったきめ細かいサービスを提供することで、お客様が評価してくださったからでしょう。 乗務員さん、オペレーターさんには心から感謝しております。

常務

私が入社した、昭和63年ころは、バブルの全盛期で、平成9年頃から特に10年以降、タクシー業界も急激に売上や輸送人員など実績が落ち込んでいったよね。平成7年、8年はまだまだ駅構内も忙しい時代でしたがその頃にすでに時代の先読みをし、無線営業にシフトしていったというのは、やはり先見の明があったんだと思います。

介護タクシー参入への思い

常務

今後は、創業の理念である「地域の皆様に愛され、親しまれ、必要とされるタクシー会社」、 あったかい会社だなと思っていただけるような会社にしていってほしい。例えば、何十年も代々続いている乾物屋さんのような、生き方をしっかり持っている会社です。 売上は、お客様を大切にし、お客様から慕われると自然とついてくるもの。そうすることで、乗務員の収入も増え、生活水準も上がります。だからお客様を大切にすることが最も大事なこと。サービスの品質を高めることに全力を尽くすという、今までやってきたことを土台にして、これからもサービスの質の向上を続けていきたいですね。

社長

平成8年のGPS・CTI無線配車システム導入後、日増しにお電話をいただくお客様が多くなってきました。特に昼間は、お年寄りやお身体のご不自由な方々のご利用が非常に多くなってきました。「お客様に気持ち良く」利用していただこう、「お客様に喜ばれるサービス」を提供しよう、「お客様の喜びが私たちの喜び」という共有理念のもと、それを実践し、そしてそれをお客様が評価をして下さったからだろうと思います。 お荷物お持ちの方には、積み下ろしの、お年寄りやお身体のご不自由な方々には、手を貸して差し上げたりして乗り降りのお手伝いをさせていただきました。 実は介護タクシーを始める前から、多くの乗務員は今行っている介護タクシーと同じようなお手伝いをしていたのです。単なる乗降介助だけでなく、中には、5階建ての5階にお住まいの方で、おんぶでの階段の上り下りなどもしていました。 このようなサービスは、お客様には大変に喜ばれました。そのお客様の喜ぶ顔をいただくことで、私たちも進んでお手伝いさせていただいておりました。 そんな中、これから訪れる高齢化社会を見据え、地域社会へのお役立ちの観点からも、見よう見まねで介助、介添えをさせていただくだけではなく、本格的に介護や福祉の概念から、また技術的なことも含めてキチンと勉強をしようと乗務員ともども思うようになりました。介護員の資格を取ることで、もっと自信を持ってサービスを提供することができるし、ご利用者様もより安心して利用することができるのではとの思いで、乗務員はヘルパー2級の資格を取得し、会社としても介護保険法の適用事業所となるべく訪問介護事業の千葉県の指定を受け、介護タクシーが誕生しました。

常務

介護タクシーを開始してから、要介護者や障害者の方々のご利用も増えましたが、一般タクシーのご利用も同じように増えてきましたね。 介護サービスを提供する際には、どの様にしてさしあげることがその利用者にとって本当に良いサービスとなるのか、と常に考えながら行わなければなりません。介護タクシーを行うことで一般のタクシー利用者に対しても同様に考えることができるようになり、自然とお客様の視点を意識しての接客サービスができるようになってきました。

将来のビジョン

会長

今後は、創業の理念である「地域の皆様に愛され、親しまれ、必要とされるタクシー会社」、 あったかい会社だなと思っていただけるような会社にしていってほしい。例えば、何十年も代々続いている乾物屋さんのような、生き方をしっかり持っている会社です。 売上は、お客様を大切にし、お客様から慕われると自然とついてくるもの。そうすることで、乗務員の収入も増え、生活水準も上がります。だからお客様を大切にすることが最も大事なこと。サービスの品質を高めることに全力を尽くすという、今までやってきたことを土台にして、これからもサービスの質の向上を続けていきたいですね。

常務

乗務員はじめ社員の皆さんが、楽しく仕事ができる、生きがいやりがいを持って従事できるそういう会社を目指したい。 お客様に気持ち良くご利用いただければ、それに携わっている乗務員も気持ち良く仕事ができる、これに尽きると思います。 だから、私たちはお客様が気持ちよくご利用できるように、乗務員が気持ちよく接客できるようにサポートする。そのような気持ちで仕事に携わっているつもりです。

社長

そのとおりです。誰かの役に立ちたいという思い、人の喜びが自分の喜びと感じられるというのは、自身のやりがいや生きがいにもつながると思います。それが提供できるようにしていくことが我々の役割ですね。もちろん会長の言うように品質だけは今後も磨き続けていきたい。やはりお客様にいかに気持ち良くご利用いただけるかが重要ですから。タクシーには、いろいろな可能性があると思います。わが社で目指すのは、単なる移送だけでなく、地域の皆様の生活全般にわたるようなお役立ちです。タクシーは、24時間営業で、車という機動力があり、無線という通信手段があり即応性があります。このタクシーの特性を生かし、より生活と密着した、地域に密着したサービスを展開していきたいと思っています。 一般のタクシーや介護、子育て支援タクシーのほか、居宅内介護や緊急支援サービス、買い物代行等いろいろなものを求めている人がいると思うんです。それらのニーズにこたえるためにも質の高いサービスが不可欠です。 基本を大切にし、基本プラスαのサービスを徹底的に実践し続けることで、お客様に感謝、感激、感動していただけるようなサービスの提供を目指し続けたいと思っています。